ブランカの知らないロープアートの世界
どっかで聞いたことあるタイトルをつけました。
2022年最後のコラボは新たな境地。新ジャンル。
そう、ロープアート!のアーティストさんとのコラボレーションが叶いました。
どう?トップのモデルさんを使用した作品といい、この上記の作品といい。
なんだかおしゃれかわいくない?
ロープアートというと下記の写真のような「緊縛」を連想する人が一般的だと思うんですよ。
みなさん、どうですか?この世界。。。
アブノーマルだわ、卑猥だわ、無理!
と感じた人は残念ながらここで離脱してしまうかもしれませんが、ちょっとまって!
さっきの作品みておわかりのとおり今回コラボした
ロープアーティストの未雪さん(女性なのです)のロープアートは一味も二味も違います。
順を追って説明させてほしいのですが、今回は「緊縛」という言葉や概念から
派生して進化を遂げた「ロープアート」の世界を覗いてみようと思います。
あなたも私もまだ知らない「ロープアートの世界」。
ブランカと一緒に飛び込みましょう。
<お品書き>
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ロープアートについて知識のない私がざっと調べてわかったこと
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ロープアートと着物の関係性と描かれ方
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ブランカとロープアー卜の出会い
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着物スタイリスト ブランカがロープアーティスト未雪にインタビュー
4−1. ロープアーティスト未雪自己紹介
4−2. ロープアートを始めたきっかけとは
4−3. ロープアートの技術はどのように習得していくのか
4−4. ロープアートを続けて何年くらい
4−5. ロープアーティスト未雪が影響を受けたアーティストやこと、もの
4−6. ロープアートで大事にしていることやテーマとは
4−7. 未雪が考えるロープアートのおもしろいところや好きなところ
4−8. ロープアートの大変なところや難しいところは?
4−9. ロープアーティスト未雪の今後のビジョン
4−10. ブランカとの着物コラボを終えて
4−11. ロープアーティスト未雪読から読んでいる人にむけて一言 -
ブランカの今回のコラボの感想
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ロープアートについて知識のない私がざっと調べてわかったこと
まず、私はロープアートについて全くのビギナーである、ということをここで声高にしていっておこう。
このブログを書いている時点で作品撮りは終えて、写真も仕上がっているのだが、それでもまだロープアートについての知見は皆無なのだ。
せっかくロープアーティストさんとコラボできるこんな希少な機会を得たのだから、無知のままではもったいない。
便利なインターネットのお力を借りて勉強だ。まずは王道ウィキペディアに頼ろうと思ったが「rope art 」ではヒットせず、
「Japanese bondage」もしくは「緊縛」でヒットした。
仕方ないから「緊縛」のwikipediaを読み進める。なになに・・・「緊縛」の歴史は江戸時代までに遡り捕縄術(ほじょうじゅつ/とりなわじゅつ)がルーツなのでは?
捕縄術は、日本の武術の一つ。敵を縄で捕縛・緊縛する技術。ふむふむ・・・昔は罪人が逃げないように縄で縛っていたから、そこから派生したという説が濃厚。
「捕縛術」で調べていたら、こんな資料も・・・
↓ ↓ ↓
御用だ!御用だ! 江戸時代の同心が犯人逮捕の技術を習熟するための「早縄掛様雛形」。
縛られる者の身分などによって掛け方に違いがあったそうです。
本館15室 歴史の記録では、多彩な雛形の世界を紹介しています。6月11日(日)まで。 pic.twitter.com/t0AJY4zSLq— 東京国立博物館(トーハク) 広報室 (@TNM_PR) April 22, 2017
しかしながら、緊縛が江戸時代の捕縄術にさかのぼり、
“日本の伝統文化と結びついて形成されたという俗説は欧米を中心に普及しているが、事実無根である”(Wikipediaより引用)
緊縛はどのように派生したのか?ははっきりしていないが
江戸時代の浮世絵ですでに「責め絵」と呼ばれる人を縛る作品が生まれていたことから
「緊縛美」と呼ばれるフェティシズムのジャンルは300年以上前に日本で誕生していたことには違いない。
では「緊縛」と「ロープアート」との違いとは?
なんでもかんでもWikipediaに頼るのはよくないけど、これも書いてあった。
2000年以降、一鬼のこが樹木や石、球体など人間以外の緊縛を始めた。
これによりアートとしての評価が高まり、緊縛の概念を変えたといわれている。ほお!Wikiの情報が確かなら「ロープアート」の概念は「緊縛」よりも思いのほか歴史が浅いと言える。
これは知らなかった。
一鬼のこなどについてはネットなどで色々出てくるので興味持った人は
色々調べてみてはどうだろう。
駆け足に「ロープアート」に触れてみた。
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ロープアートと着物の関係性と描かれ方
ロープアートと着物の関係性は、日本の文化と歴史に基づくゆえ、自然発生的だ。
江戸時代以降、肉体を縛る緊縛がフェティシズム、エロティシズムの概念として生まれたのなら、
その当時、肉体をあたりまえに覆っていた着物、および襦袢も対になる。
ロマンポルノ、ピンクシネマが隆盛した昭和中期以降にかけてもなお、衣装として着物や襦袢+緊縛は鉄板。定番なのか?
被縛者の着衣の有無は好みが分かれるところだそうだが、いずれにしても「想像力を掻き立てられる」衣装が良いらしい。
あまり詳しくないのでこれ以上、書けませんが緊縛のステレオタイプのイメージとして
「縄+着物」を思い浮かべるのは私だけではあるまい。。。
3.ブランカとロープアー卜の出会い
私が着物作品を作りSNSに発表し始めたのは2019年ごろからだ。私自身としては「エロティシズム」の表現をクリエーションしたことはなかったのだが、
「「緊縛」や「縛り」はできないか?」と数件立て続けに問い合わせを受けた時期があった。
依頼主は国内の人もいれば海外の人もいた。
あたりまえだが「着付け師」と「緊縛師、ロープアーティスト」はちがう。
似てる部分もありそうだが、大いに違う部分もあるだろう。
着付師は紐を結び、緊縛師やロープアーティストは縄を縛る。
もしや、着付師の中に緊縛ができる人もいて、緊縛師の中に着付けもできる人は案外といるものなのかしらん。
残念ながら私は緊縛ができないのでそれらの依頼はすべてお断りした。
今になって依頼者たちに「私に緊縛を依頼した理由」を聞かなかったことがとても悔やまれる。
その時に緊縛×着物との親和性と需要を感じたことを覚えている。
それでもエロティシズムを自身の作品にすることには興味がわかず、
むしろ真逆なことばかりやっていたらいつの間にか緊縛に関する問い合わせは一切こなくなりましたが、
私の中で「縛り」が気になる存在になったのは確実にこの時からだ。
4.着物スタイリスト ブランカがロープアーティスト未雪にインタビュー
私がふだん交わる機会のないロープアートとロープアーティスト未雪さんに
出会えたおかげで着物との融合作品が生まれました。
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ふだん着物にまつわるあれこれや作家さん、職人さんたちへの
インタビューをのせてきたブランカのブログですが
今回はロープアーティスト未雪にブランカがインタビューした内容を掲載します!
貴重なので、ロープアートに興味ある人、必見です。
4−1. ロープアーティスト未雪自己紹介
ブランカ: 未雪さんのご自分の自己紹介をお願いします。
未雪:「縛り」をアートと捉え、ボディーペイントと組み合わせたり、身近な物を縛っているアーティストです。
4−2. ロープアートを始めたきっかけとは
ブランカ:ロープアートはアングラなイメージがありますがまず始めようと思った何かきっかけがあったのですか?
未雪;きっかけを話すと驚かれるんですが、
霊能者に「絶対緊縛やったほうがいい」と強く勧められたんです。
当時は緊縛という言葉を知らなかったので「?」となりました。
なぜ勧めたかは聞いてないですが(私の未来が視えた?)緊縛が何かアートに繋がるのだろうと思いました。
私自身、自分に合う表現方法を探していたので、自分では思いつかない方向性だし、
前向きに考えてみることにしました。
とは言え、全く知らない世界。。
すごく怖かったし、近場に教室なんてないし、どうしよう。
行動に移すまでにかなり時間がかかりました。
4−3. ロープアートの技術はどのように習得していくのか
ブランカ:ロープアートの技術はどのように習得しましたか?
未雪:緊縛について調べていくうちにHajime Kinokoさんに行き着いて、
「あ!Kinokoさんの表現、素敵」と思って。
Kinokoさんを師匠とする緊縛師さんの教室で習得しました。
初講習の時「なんか(縛りが)出来てる。縄の仕事してた?」
と聞かれたのを今も覚えています。
私は縄を扱う仕事なんて一度もしたことはなかったし、
紐を結べば縦結びになるレベルの初心者だったので、何が「出来てる」のかも分かりませんでした。
でも、今思えば「縛ることは自分に向いていた」ということなのかもしれません。
私に助言してくれた霊能者さんはそのことを示唆してくれていたような気がします。
人を吊り下げて縛る所謂”吊り”もちょっとやってみましたが、人を吊るのは怖い。
そのうえ力がいる。
私には必要ないかもと思い、”吊り”の習得はやめて、
縛りの初歩のみを習得しました。
私のロープアートは、特に「もの」を縛る時はオリジナルです。規則性がない。
4−4.ロープアートを続けて何年くらい
ブランカ:ロープアートを初めて何年くらい経ちますか?
未雪:作品を作り始めて2年弱です。
4−5. ロープアーティスト未雪が影響を受けたアーティストやこと、もの
ブランカ:影響を受けた人やものはありますか?
未雪:Hajime kinoko※1さんと塩田千春※2さんです。
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※2 塩田千春
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4−6. ロープアートで大事にしていることやテーマとは
ブランカ:ご自身のロープアート作品で大事にしていることやテーマや伝えたいことはありますか?
未雪:以下の3点を大事にしています。
①縛りのバランス
②和と洋の融合
③卑猥ではないセクシーさ
4−7. 未雪が考えるロープアートのおもしろいところや好きなところ
ブランカ:ロープアートのおもしろいところや好きなところは?
未雪:
- 縛ってアートになるところ、映えるところ。
- 同じ縛りは2度とできない。
- 解けばなくなる儚さ、ボディーペイントに通ずる消滅の美。
- 女性性の表現に向いている。
- 怖い表現と相性がいい。
4−8. ロープアートの大変なところや難しいところは?
ブランカ:ロープアートの大変なところや難しいところはどんなところですか?
未雪:「エロス」のイメージが強いので、
関わってくださる方にご迷惑がかからないかを考えてしまいます。
ただアートと認識してくださる方も意外といらっしゃって、
むしろ私よりオープンだったりして嬉しいです。
普通のポートレートのようにどこでも撮れるものではなく、場所が限られる、屋内になりやすい。
アートだということが理解されにくい。
それに技術維持が難しい。
4−9. ロープアーティスト未雪の今後のビジョン
ブランカ:課題や今後取り組みたいことはありますか?
未雪:
<ロープアート作品の商品化をしたい>
ブランカさんとのコラボでハートのクッションを縛りましたが、
縛ることによって「可愛い」から「甘すぎない可愛い」になって「もし商品だったら買いたい!」と自分で思いました。
ブランカとのコラボで未雪に縛られたクッションがこちら↓
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ロープアートのバッグとか、あったらきっとかわいい。
どうやって商品化すればいいか分からないのでビジネスパートナー求む!です。
<作品展示への挑戦>
今までは作品撮りしたら縛ったものは解いてたんですが、いつか展示するかもとふと思い、最近は縛ったまま保管したり飾ったりしてます。
<スケールの大きいインスタレーション>
大きければ大きいほど時間がかかるし、場所と技術の問題もあるし、ひとりでは難しい。課題も多いですが実現させたいです。
4−10. ブランカとの着物コラボを終えて
ブランカ:今回はブランカと着物コラボという試みでしたがやってみていかがでしたか?
未雪:和洋ミックスの着物の着こなしに興味があり、着付を少し習ったことがあるので
お声がけいただきブランカさんのインスタを見たら凄く素敵で、テンションが上がりました!
着物って素敵だな、ロープアートと相性がいいな、と思いました。
いつも1人かモデルさんと2人で作品を作っているので、それぞれの専門の方で作り上げていく様が新鮮でした。
自分の作品をモデルさんが手に取ってくれて、撮影してもらえて、ブランカさんとコラボできて光栄です。
4−11. ロープアーティスト未雪から読んでいる人にむけて一言
ブランカ:読んでいる人にむけてメッセージあればお願いします。
未雪:「SM」のイメージが強い緊縛。でも最初からそうだったわけじゃなく、元は罪人を捉える武術でした。
時代によってイメージは変わります。
今はファッションやアートに広がっており、これからもっと広がっていくだろうと思います。
ただ、アートとして習得する人は多分まだまだ少なく、
教室でもアートのために学んでいたのは私ひとりでした。
緊縛師さんの技術は長い時間かけて培われたもので、とても奥深いです。
その技術に触れる機会に恵まれて、その経験をもとに私はアート表現をしています。
ロープアート、緊縛の世界を知らない人にももっと興味を持ってもらいたい!
ロープアートは性別、国籍も超えていけるクリエーションであり、
アートであるという一面を多くの人に知ってもらいたいです。
エロスやSMのイメージの概念以外の緊縛を知ってもらいたいですね。
ぜひ私のインスタを見に来てください!
ブランカ:未雪さんインタビューありがとうございました。
未雪さんのインスタグラムでは未雪さんオリジナルのロープアートの作品を堪能できます。
彼女オリジナルのロープアートの世界観ぜひチェックしてみてくださいね。
5.今回のコラボの感想
ロープアーティスト未雪さんとのコラボの話が浮上したのは2022年の夏頃なので
事前にロープアートの知識を入れようと思えばいくらでも調べる時間はあったのだけど、今回はあえてそれはしなかった。
未雪さんのロープアートの世界と私の着物の世界観を直感的に素直に表現したいと思っていた。
不純物のない状態で混ざれば面白いものができるのではないか?と恐れ多くも思った。
だからこそできたのが今回の作品。
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もし、次にまた未雪さんとコラボするならどんなコンセプトで?どんな風に着物をアレンジして、どんなモデルを使うだろう?
夢想してトリップしてしまいそうだ。
今回でのコラボはクリスマス直前ということで
クリスマステーマのロープアート✕着物スタイリング。双子のモデルさんたちが縛られた紅白のクッションを
持っている様子はかわいいだけでなく、人間味と誰もが持つ心の毒のようなものを感じます。
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